風俗のリスク 性病・犯罪・心理
カラダ・ココロ・ミライ

風俗産業は若い女性に便利で居心地の良い場所に感じることがあると思います。そんなにきつくないけど、お金はいっぱいもらえるーそう思いながら森の中を歩いていると、一緒に歩いていたはずの人たちが一人また一人と姿を消していきます。そしていつの間にか森の奥深くでたったひとりぼっちになって。

なぜコンビニのアルバイトの時給の何倍も高給なのか、それは正常な社会を離れて、多大なリスクを引き受ける対価ではないでしょうか。そしてそのリスクには時間差で気づくことが多く、気づいたころには手遅れの場合が多いように見受けられます。

カラダのリスク


STD=性感染症
いわゆる本番のないお店で働く女性は「口だけだから」「触られるだけだから」と病気に関して安心している人も多いです。お店も女性に働いてほしいから「めったに感染しないから大丈夫」などと無根拠な話をしてきます。しかし、病原菌やウイルスの中には空気感染したり、口の粘膜を通じて感染したりするものも多く、ハードなサービスでなくても感染することもあります。

厚生労働省のホームページに掲載されている代表的な性感染症の引用をわかりやすく書き直したものを付記します。これはいわゆる「B」行為で感染するものです。男性も感染しますよ。

※性病の多くは比較的長い「潜伏期間」があります。保菌しながらも発症しないので、自分が感染したことに気づかない期間です。このうちに夫や恋人に移してしまうことがあります。また、保菌したものの免疫力が強くて発症せずに、逆に感染させた夫や彼氏が発病することもあります。これはジャンプ感染と呼ばれます。

(1) 淋病
原因:淋菌という菌の病気。
潜伏期間:2日から1週間
症状と治療:最初は自覚症状がない人もいる。腹膜炎やさらに肝臓の周囲にまで炎症が広がることもある。激痛をともない入院することも。

(2) クラミジア感染症
原因:クラミジアという菌の病気。
潜伏期間:1~3週間。
症状と治療:8割程度がが初期症状では気付かない。腹膜炎で痛みを伴い気づくケースが多い。腹膜炎の場合、長期の治療が必要。卵管などに影響すると不妊になる。

(3) ヘルペス感染症
原因:ヘルペスウイルスの病気。
潜伏期間:2日~5日
症状と治療:性器に水疱・潰瘍・痛み。抗ウイルス薬の投与。

(4) 梅毒
原因:梅毒トレポネーマ菌による病気。
潜伏期間:3週間
性器に痛みのないしこりができる。次第に崩れ、潰瘍(組織が崩れること)となる。その後、全身感染すると発疹などが出てきます。著しく進むと、顔や体が崩壊。

※転載はしませんが、こうした病気の患者さんの写真はインターネット上で見ることができます。

「その間」と「その後」

性病が語られるとき、完治することに関心が行きがちですが、何週間も体調が悪くなったり、毎日薬を飲まなくてはならなかったり、場合によっては入院するというのは、金銭的にも物理的にも大変なことです。他に仕事や家庭を持っていた場合、生活が破綻します。家族や彼氏(夫)に病名を知られれば風俗で働いていることがバレることもあります。

風俗店の従業員やお抱えの病院は「性病はすぐ治る」と言います。

確かにSTDの多くは、重症化せずに淋病とかヘルペスという個別の病気そのものについては短期間で治るのは事実です。しかし、ウイルスで臓器が弱ったり、発熱で脳にストレスがかかったり、広い意味でカラダにダメージを与えるのはまた別の問題です。

性感染症が原因で免疫不全や子宮・卵巣に問題を引き起こされることもあります。不妊やがんの原因にもなります。何年もたって体の異常に気がついても手遅れです。

HIVや肝炎
HIVや肝炎は血液や精液による感染が主で、上記のSTDよりは感染の可能性が低く、いわゆる「B」では感染しないとされています。しかし、口内炎ができていたり、口の中を切っていたり、虫歯の治療などをしていた場合は血液や精液を通して感染します。ましていわゆる本番をしていればいつどこで男性の体液が女性の体内に入るか分かりません。

風邪やインフルエンザ、幅広い病気も
性感染症だけではありません。インフルエンザや風邪、幅広い意味での雑菌などもあります。同じ教室や職場にいるだけでは感染率は低いでしょうが、キスや性的な行為で密着したり体液に触れれば感染する可能性は格段に高くなります。

妊娠のリスク
最近は避妊をしない「生」のサービスで上乗せ料金を取ることが流行っているようです。お店に支払う料金は折半ですが、こうした上乗せ料金は女性が直取引で手に入れる収入なので、すごく実入りがよいです。ピルを飲むのが一番確実とはいえ、うっかり飲み忘れると効果がなくなります。月経周期から「危険日」「安全日」を割り出す女性もいますが、ホルモンバランスやストレスで変化するものなので不安定です。コンドームを装着していても漏れたり破けたりすることはありますし、タチの悪い客は穴を開けていることもあるそうで万全とは言えません。恵まれない妊娠は心と体に大きな傷を残してしまいます。

犯罪にあうリスク


風俗店のサイト内を注意深く探すと必ず「禁止事項」の記載があります。スカウト禁止、盗撮禁止の中に「暴力行為」「違法薬物の使用の禁止」という項目があります。なぜそんな項目があるかというと実際にそういうことが起きているから書いてあるのです。刑事事件として立件されるものもあれば、立証が難しく民事で争い、違約金や損害賠償を求めることになるケースもあるかもしれませんが、被害にあった女性は事実上、犯罪被害者です。

窃盗のリスク
ちょっとシャワーを浴びている隙にお金を盗られたり・・・。お金に色は付いていないので水掛け論になるだけです。


薬物被害のリスク
意外と多いのが薬物の被害です。数年前、関西のホテルで倒れた女性が病院に担ぎ込まれました。よだれを垂らしながら「知らない客に無理矢理、注射を打たれた」とのこと。
最初はシャブ中の風俗嬢がウソをついているんではないかと思ったそうですが、常用者に見られる雰囲気がなく、「毒を打たれた」ような体調不良を訴えています。店に連絡をすると、確かに直前に不審な客から予約が入っていました。ホテルの防犯カメラにもその男が女性をほったらかしにして出て行く様子が写っていました。数日後、男を逮捕してみるとこれまでにも関西のいくつかの風俗店の女性をホテルに呼びつけては無理矢理覚醒剤を打ちまくってきたデタラメな男でした。当然、本人も根っからのシャブ中。
そんな男はさすがにまれですが、お茶の中に睡眠薬や向精神薬、危険度ドラッグを混ぜたり、局部に違法薬物の粉末を練り込んでくる客は意外と多いそうです。AVや成人向けマンガでは、女性も途中からきもちよくなって幸せの世界に・・・という展開が見られるので、そういうことになるだろうとうバカな男が実行するようです。ほとんどの場合は女性は気分が悪くなったり、意識が混濁したりします。覚醒剤やコカインの場合はオーバードーズ=過剰摂取でショック死することもあるでしょう。実際、女性と連絡が付かなくなって店の従業員がホテルの部屋を開けてみたら女性が酩酊して泡をふいていたという事案は多いそうです。

性的・暴力的な被害に遭うリスク

異常なお客さんに出会ってしまった時、女性は一人でその窮地を脱出できるでしょうか。ストリップやのぞき部屋を除けば、ほぼすべての風俗産業は「女性従業員と客が密室で1対1になる」という特徴があります。オープンスペースか、カーテンで仕切られた個室か、ホテルの部屋かという差はあれ、男性従業員が様子を見守ってくれる業態はありません。客の男性が無理矢理に行為を迫ったり、暴力を振るったりしても女性がその場から逃げ出すのは至難の業です。いわゆるリラクゼーションやリフレのお店で、添い寝だけのつもりがひどい暴行の被害にあってしまったという女性もいます。

死んでしまった人も
客から「一緒に死んでくれ」と言われて無理心中に巻き込まれた女性を2人知っています。
1人は20代後半の女性でした。その日、常連の男性は珍しく長時間の予約を入れていました。時間になっても女性から連絡は来ず、携帯も出ません。ホテルの従業員と店の人が扉を開けると、女性は刃物で刺されて死んでしまいました。激しく争い、逃げ回ったので部屋中に血痕が飛び散っていました。血まみれで絶命した女性の横で客の男が首をつっていました。
もう1人の女性は20代前半で、初対面の自殺願望のある客に急に腹を刺されました。この男は女性が血まみれでのたうち回るのを見て恐れをなしてとどめを刺さずに逃げました。女性は救急車を呼んで一命を取り留めましたが、臓器に大きな損傷を負ってしまいました。男は自分で死ぬこともできず、血まみれでホテルの近くを歩いているところを逮捕されました。

ココロのリスク

「この仕事?別に大変じゃないよ」
風俗産業ので働くほとんどの女性がそう言います。

本当にあっけらかんと「ちょっとペロペロしてやるだけじゃん」と笑う女性。自分にウソをついているとかムリしている感じもなく、ごく普通の印象です。しかし、しばらくたつと少しずつ挙動がおかしくなっていく女性の実に多いこと。体感的には9割くらいが軽重はあれどメンタルに問題を抱えているように感じます(もともとメンタルに問題のある女性が多いということもあるのですが)
ある精神科医の人と話していたら風俗で働くことや援助交際、売買春は※自傷行為の1つだという話をされました。リストカットや自死願望などと違い、本人もそれが自傷行為であると気づきにくい点がより深刻であると指摘していました。リストカットなどの自傷行為に比べ、周囲も気づきにくいという点ではさらに深刻かもしれません。

プライバシーのリスク


最後になりましたが、プライバシーのリスクがあります。学校や職場の人に仕事をしていることがバレる場合があります。少ない可能性ではありますが、お客さんが家族や親戚、知人であるというストレートなバレ方をするときもあるでしょうし、たまたま夜の街で送迎されている姿を見つかることもあるでしょう。お店のホームページや業界のサイトに載せた「匿名性が高いはずだった」写真や動画を知人に見つけられてしまうこともあるでしょう。お店の人は「目元や口元を隠せば分からない」と懐柔してくるかもしれませんが、家族や親しい友人、職場の人なら目元や口元、ちょっとした服装などから認識されてしまいます。逆にお客さんと何かの拍子に出会ってしまうかもしれません。「あ、初めまして(笑)」などと下卑た笑顔を向けられてしまうかもしれません。
また、世の中はいつどこでテレビや新聞、雑誌に出たり、はたまた著名人になるかは分からないものです。せっかく何かのきっかけで社会に注目されるチャンスがあっても、昔の客や従業員に「昔は風の店で働いていた」とインターネットの掲示板に書かれたり、週刊誌に持ち込まれないか心配で二の足を踏んでしまうかもしれません。

知り合いの女性で、目の覚めるような美人で女優や歌手になるのが夢の人がいました。比較的有名な芸能プロダクションのオファーがきましたが、涙ながらに断りました。ごく普通の家庭の可愛らしい女性で、雑誌の表紙や映画の女優にならなれるかもしれないという逸材でしたが、短期間、お店で働いていたことがネックでした。

「私がデビューして、もし女優や歌手になったらどうなると思います?絶対に私の過去が暴かれますよ。自分の家族や友達にそんなことを知られたり、お嫁に行けなくなるくらいなら芸能界の夢をあきらめる方がいい。これから一生、いつ自分の過去が知られるかを心配して生きなければならないんです。ああ、どうしてあのときほんの少しのお金が欲しくて、あんなお店で働いちゃったんだろう」

彼女がもしデビューしたとして、大成したかどうかはわかりませんが、大切な夢をあきらめ、一生、心に不安を抱えながら生きていかなければならないというのは気の毒でした。彼女はこれから長く続く未来そのものを失ってしまったように見えました。


最後になりましたが、風俗は女性が自分の体を張って、合法的に大きなお金を稼ぐという面ではポジティブな仕事になる女性がいるのも確かです。人によってはそれを元手にして事業をしたり、進学をしたりと前向きに生きるための最初の大切なお金を得る手段だったりもします。

それでも、やはり、それは本当にごく一部です。

最初は軽い気持ちで働き始めていろいろなトラブルや病気に巻き込まれ、ココロもカラダもボロボロになって、「普通の女の子に戻りたい」と願う人はあまりに多いです。