「チャカって別にいらないんですよね。
ただ、持ってることが大事なんです」
関東 中堅幹部
◆一人一丁はいらないのでは◆
日本で抗争でヤクザが射殺された事件は、この数年でも数えるほどしかありません。2年前の山口組分裂直後の事務所への拳銃撃ち込み合戦にしても数丁あればこと足ります。しかし、なぜかヤクザは一人一丁と言われるほど大量に拳銃を持っています。
関東の中堅幹部によると「単純にカッコいいから」という答えが返ってきました。あまりにシンプルな答えだったので、二度聞きしましたが、「だってヤクザ映画とかで拳銃バンバン撃ちまくるのがかっこいいなってヤクザになったバカの集まりなんだから、オレももちたいなって思うにきまってんじゃん」。なるほど。そうですね。抗争で使うことはないのかと聞くと、「別に日常的に使うことはないけど、何かあったときにオレは拳銃持ってませんなんてのはヤクザとして許されないからとりあえず持っておくというのが大半だと思うよ。今、ヤクザの事務所に拳銃撃ち込むだけで5年ぐらい刑務所行くよ。まして人に当てたら10年コース、殺しちゃったら無期懲役、素人に当てたら死刑だし、親分も兄貴もみんな巻き添えだからね。本当に使うやつは相当の覚悟だよ」
◆極道の資格を得るために◆
ある組織は若い衆に単純に拳銃を仕入れるルートを開拓できているかどうか確かめる試験があると言います。要するにそれだけの人脈、カネがあるか、組のためを考えているのかというのを見極めるということです。組に入ってそれなりになると「お前、ちょっと道具を仕入れてこい」という課題が科せられます。ベストアンサーは「実はもう持ってます」だそうですが、なかなか若い組員の中には持っていないものも多いのが現状です。基本的に期限は1か月で「拳銃を買うルートがわかりませんでした」とか「カネが足りませんでした」とかいう甲斐性ナシは根性が足りないということで、破門だったそうです。
◆大事だからこそ人に預けちゃう◆
「持っていることに意味がある」拳銃ですが、当然、組事務所や自宅には保管せず知人に預けていざというときに取りに行けるようにしています。大事なものだからこそ、自分の手元にはおいておけないのです。ヤクザが拳銃を知り合いに預けてそのままにしたままどこかに行ってしまい、預かった知人が困惑するという事態は昔からあるそうです。中には本当に鍵付きの箱ごと渡されて「大事なもの」としか認識しておらず、何年かぶりに初めて箱を開けてびっくりなんて人もいるそうです。家族にもおいそれといえず、迷惑至極な話にちがいありませんね。