https://video.unext.jp/title/SID0020980
高倉健にあこがれて・・・
「私が極道になったのは
親分の強きをくじき弱きを助く
そのオトコの姿に惚れたからです(真顔)」
-指定暴力団幹部
◆建前でなく自分はヒーローと信じている◆
ヤクザは「任侠」ということばを頻繁に使います。最初は、「建前のウソをつかないとやっていけないんだな」と話を聞いていましたが、自分がいかに「任侠道」を歩んでいるかというような話になってくると熱を帯びて「俺たちが法律で裁けない悪を成敗して素人さんを助けてるんだ」などと豪語します。この精神はかなり多くのヤクザの間で共有されていて、本気で正義の味方だと勘違いしているようです。
◆実際、助かる人もいる◆
例 昼下がりの喫茶店
シクシクと泣く女性の横にうつむいたサラリーマンがいます。彼は妻子がありながら女性に手を出しました。女性は度重なる謝罪の呼び出しを無視され、とうとう知り合いを通じてヤクザに頼りました。
女性の横に座ったヤクザがサラリーマンをにらんで「アンタに遊ばれたこの子がどれだけ傷ついてるのかわかってんのか!?」ぐうの音も出ない正論で切り出します。「社会人として、いや、男として責任をとりましょう」至極まっとうで反論できません。
サラリーマンはATMで50万円を下ろして戻ってきます。
するとヤクザは「この子の傷ついた心の治療費はたったの50万円ですか?この子はいい子だから黙っているけど、俺は今、人としてアンタのことが許せない!同じ男として恥ずかしい!」
サラリーマンは苦悶の表情で立ち上がりもう50万円おろしてきます。
100万円の束を見たヤクザは女性に向きなおり「なあ〇〇ちゃん。この人もこれだけ誠意を見せてるんだから許してあげなよ。この人の家庭を壊すようなことはしたらだめだよ。離婚なんかになったら何より子どもさんがかわいそうだから」と女性を諭します。女性はうなずくと100万円の束をバッグに入れました。
ヤクザが「お兄さんも女を泣かせちゃいけないよ。今後は奥さんや子供も大事にしてやんなよ」などと偉そうに説教を垂れ、サラリーマンは頭を下げて店を出ました。女性は少しすっきりした顔をしていて、お金を握りしめると新しい世界に向かって歩き始め・・・
◆無償でないことに注目◆
http://cdn.tv-osaka.co.jp/onair/detail/2017/06/21/15/00/引用
あるヤクザの親分が「俺たちは現代の水戸黄門だ」といいましたが、水戸黄門は悪代官を成敗し街の衆を助けたあとに、ただの一度でも「お礼をくださいな」などと言ったことはありません。ウルトラマン、暴れん坊将軍、スーパーマン、あらゆるヒーローはそれを無償で行うからこそヒーローであり、正義であり、任侠なわけです。
先ほどの喫茶店に話を戻します。
事が済むと女性から示談金の半分がヤクザに支払われ、ヤクザは「俺はああいうやつを懲らしめるのが仕事なんだ。また何かあったら力になるよ」と肩を叩いて店を出ていきます。
このとき、ヤクザは信じがたいことに本当に「きょうはかわいそうな女の子を助けて、悪い男をやっつけたぞ!男の家庭も守ったし、いやあ任侠したなあ♪」なんて思っているのです。ただの恐喝ですが…
ヤクザの仕事の大半が「いいがかり」をつけることでそこに彼らなりの正義を持ち込む余地があり、自分を納得させて、時にその姿に酔いしれているのだと思います。このようなものを彼らは「スジ」と呼んで企業恐喝やみかじめ料などありとあらゆる場面で適応させます。根っからの悪で自分でも言いがかりだということを認識しているヤクザもいますが、意外と本気で世の中の警察や法律で解決できないトラブルを解決する「必殺仕事人」だと思っているヤクザは少なくありません。しかし、それはお金をもらった時点で根本からひっくり返っているのですが、そこには調子よく気づきません。
思い返すと中学や高校なんかで傍若無人な不良のくせに、突然、おとなしめのグループのちょっとしたイジメに正義感ぶって介入してきたり、学級委員会で急に正論を言って学級委員長や先生を困らせるる連中がいませんでしたか?あれが大人になって徒党を組んでいるのがヤクザです。
「俺の言ってることがどこか間違ってますか?スジが通っていると思いますけどねえ?」