🎎年末年始はヤクザ稼ぎ時🎎


「ここで店をやるなら分かるよな。
 毎月25日に2万円だ。盆暮れは2倍だから」
 ―逮捕された暴力団幹部

◆盆暮れみかじめ◆

先日、東京・赤坂でみかじめ料を徴収していた暴力団幹部が警視庁に逮捕されました。幹部は店を回って「盆暮れは倍だぞ」と脅して回っていたそうです。

ヤクザのみかじめ料は長年、お盆(8月)と暮れ(12月)に徴収するシステムになってきました。キャバクラや風俗のように毎月、みかじめを支払っている店は盆暮れにいつもより多めに支払います。毎月支払っていない普通の飲食店では年末だけ付き合うところが多く、門松や熊手、干支の置物などの物品購入名目に徴収されることが多いようです。本当はそんなものいらないのだから断ればいいのですが、年に1度だけ大した金額でもないので年末にヤクザともめて嫌がらせをされたり、店に火でもつけられたらかなわないと払ってしまう経営者も多いようです。

しかし、こうやって一度でも支払うとツケ込んでくるのがヤクザです。ある大阪の飲食店の経営者はしぶしぶ干支の置物を買ったところ、翌年には「置物は2つが対になるように飾る方が縁起がいいよ」と押し売りされ、以来、毎年干支の置物を2つも買わなくてはいけなくなったそうです。



◆テキヤ花盛り◆

年末年始の数日間は日本中の神社やお寺に屋台が並びます。1年で一番の稼ぎ時です。ヤクザの中には「テキヤ系組織」と分類されるものがあり、実際にテキヤで生計を立てている組員(モロ組員だと神社や寺から排除されてしまうので準構成員的な人が多いですが)がいます。テキヤ系組織の中にはかなり組織だったヤクザに変貌を遂げたところも多く、組事務所を持って様々な商売をしています。事実上、テキヤ稼業よりも賭博や覚せい剤などが組織の経済活動の中心になっている団体もありますが、配下にあるテキヤさんたちは売り上げのいくらかを組織に上納しています。テキヤ系組織の家族は「大晦日から3が日までは朝から晩まで手伝いをさせられて休んだ記憶がない」というちょっとかわいそうなことになります。

◆強制忘年会◆

ヤクザには街でいろいろな顔見知りができます。道端のキャッチ、ホスト、キャバクラのボーイ、車の修理屋、行きつけの店の料理人、ありとあらゆる知人を年末の忘年会に強制参加させる組員が結構います。自分の息がかかっているスナックに呼びつけて「忘年会費」としてやや割高な金額を徴収します。私が見た忘年会では3万円でした。20人も呼べば一気に60万円の臨時収入です。店には何万円か渡せばいいだけで末端の組員にとってはかなり良い収入になります。歌舞伎町のある組員は忘年会で儲かったことに味を占めて新年会も開いて100万円近く儲けましたが、翌年は危険を察知して誰も参加しなかったそうです。

そして何が悲しいかといえばこの組員もまたその兄貴分や親分の忘年会に強制参加させられてお金を払わされていたことです。事実上、カツアゲの無限連鎖にして、そこには『己所不欲、勿施於人』(己の欲せざる所は、人に施すこと勿れ【典拠は論語】)という考えの入る余地はほぼありません。