暴力団ヤクザの指詰め小指の断指方法
出刃包丁・ノミ・切るでなく飛ばす

「『切る』んやなくて『飛ばす』ねん。
 あれ?なくなってるやん?が理想やね。
 うまいこといったら全然痛いことあらへん」
 -3本断指した中堅幹部

 

ビニールのワイヤーで第一関節を縛って30分。小指はムラサキを通り越して黒くなり始めていました。キンキンに冷えた氷水に浸して15分。小指全体の感覚がなくなっていました。
関東の組織の中堅幹部Gは本当に自分の不始末を悔いていました。なぜ、あの日あんなことを・・・。
酔っぱらった勢いで同じ傘下の組の人間とケンカになったのです。組員同士のケンカはよくあることですが、そこでGは「お前んとこのオヤジは詐欺師だ」と怒鳴ってしまったのです。
先方は、俺をバカにするならいいが、オヤジを詐欺師呼ばわりとは何事だ。ぜったに許さんぞと怒り狂っていました。
翌日酔いがさめると、親分から10件の着信が。
慌てて折り返すと
「てめえ、〇〇会長を詐欺師だなんて呼んだのか」
ものすごい剣幕で怒鳴られました。
事務所に駆け付け土下座をしました。すぐにアニキたちからよってたかって殴る蹴る。文字通りボコボコにされました。
口から血を吐いて折れた歯を吐き出しました。
「一緒に詫びに行ってやるから、指詰めろ」
Gがフラフラと起き上がり事務所の台所で包丁を探していると
「バカヤロー!こんなとこで詰めたら俺たちが傷害だとか強要でパクられるだろうが。家で飛ばしてこい」
雑誌を投げつけられました。
事務所を出るとすぐに兄貴分が駆け寄ってきてくれました。
「オマエ、詰めるの見たこともないか?」
Gがうなずくと兄貴分はていねいにその方法を教えてくれました。
言われたとおり、ホームセンターでノミとトンカチ、ビニール製のワイヤーを買いました。
そして今、暴走族時代の後輩にノミを使って自分の指を落とさせようとしているのでした。怖さを紛らわすために大音量で音楽を聴き、指から目をそらしています。
「おい、お前のタイミングでやっていいからな」
そういいつけて今か今かとその時を待っていました。体中に力が入って脂汗がにじんできます。
さあ、いつでも来い。

1分、2分くらいたったような気がします。自分の時間感覚がおかしいのか、と思いましたが、そういえば聞いていたハマショーの歌が湘南乃風に変わっています。
なんだよ、後輩のヤツ、ビビッてできねえのか。
血走った目で後輩をにらみつけ、「さっさとやれよバカ」と怒鳴りつけました。
後輩は困惑した顔で、
「先輩、もう」
見ると自分の小指の先が少し短くなっていて、少し先に小さな肉の塊が落ちていました。さっきまでどす黒い色をしていた指先はフローリングの床の上でコロンと肌色に戻っていて、Gは自分の身体から離れてしまった小指が急に愛おしくなりました。

断指の方法

切断前にはビニール糸などで縛り鬱血させ氷水に浸します。痛みや出血を少なくした上でノミを関節にあてがい、木槌などで思い切り叩いて一気に指を「飛ばす」のが一般的だそうです。

映画などで出刃包丁をあてがって切断するシーンがありますが、あれは「切っている」ので痛くてとてもじゃないけどできないとのこと。包丁の幅が大きいものの場合は切り口がノミに似ているので勢い叩けば痛くないそうです。

この「飛ばす」方式で断指すると、たまに指が勢いよくロケットのように飛んでいくそうで畳や床を汚したくない場合は新聞紙などを使ってリバウンドさせます。組長の家の庭で指を詰めたヤクザは思いがけず指がはるか遠くに飛んでいってしまい、詰めたはいいがどこに行ったか分からなくなりみんなで庭中を探したそうです。

 

切断した指はどうするか

布などにくるんで先方に持って行くそうです。そして自分の切断した指を見せて「どうかこれでごお願いします」と謝罪(依願)します。先方に渡さなければいけないものでもないそうですが、本当に指を詰めたというのは見せなければならないようです。

昔は受けとって保管する人もいて、昭和の時代はホルマリン漬けの指のコレクションを持っている有名な親分がいました。現在そんなものを持っていたら警察から傷害などで捜査を受けてしまいます。最近は、処理に困るし気持ち悪いので「持って帰れ」という人が大半だそうです。



断指の治療

整形外科のお医者さんは指を詰めた組員に駆け込まれた経験を持つ人が少なくありません。暴力団対策法などの整備が不十分だった時代はごく普通に治療をして返したそうです。

ある九州のお医者さんによると、「2度も3度も小指から薬指から中指まで飛ばしてくるバカな組員がいた。バカの治療をしないから帰れと言ったものの、目の前で血だらけのそいつを見たら治療しないわけにはいかなかった」と話していました。

現代はそんな組員が駆け込んできたらすぐに110番されてしまい、本人が自主的に詰めた場合でも「私的リンチ」だとして先方が傷害事件や脅迫、強要などの容疑で警察の捜査を受けてしまいます。

 

Gは指を詰めてすぐに組に連絡すると親分と一緒に先方に謝罪に行きました。指を見ると先方の会長はウンウンとうなずいてGに帰るように言いました。

「いやー兄弟の心意気うれしいなあ」
「そりゃ兄弟の悪口をいうような野郎は身内でも教育しねえと」

親しげな笑い声が聞こえます。こんなことのために自分は指を落とす必要があったのだろうか。
兄貴分が病院まで車を運転してくれる中、もう一度、ガーゼに包まれた自分の指を見ました。
痛みが治まってくると、親からもらった体の一部を切り落としてしまったということを認識し始めました。
もうすぐ正月、実家で父さん、母さん、姉ちゃん、じいちゃん、ばあちゃんにも会うんだ。
毎年、正月はすき焼きを食うんだよな。
「オマエは料理なんかできないけど、すき焼きだけは才能があるな」
父さんにそう言われたのが中2の春。それ以来、毎年のすき焼き当番は俺なんだ。
じいちゃんとばあちゃんはまだお年玉くれるんだよな。

すき焼きを作る箸を持つオレの手には小指がない。
じいちゃん、ばあちゃんからお年玉をもらう手にも小指がない。

どうしよう。