暴力団ヤクザ素人さんに手を出さない
脅し・実際・警察・報道ニュース

「素人どついたら、身内に足下すくわれます」
-暴力団幹部K

 

精神的・風土的な部分

昔の任侠映画で「素人さんには手ぇ出しちゃあいけねぇ」というセリフがよく出てきます。

ヤクザは犯罪者の集まりですが、独特の精神世界を標榜していることは事実で、美学のようなものがあります。
ヤクザ文化を理解しようとするとき、弱きを助け、強きをくじく「任侠」の精神が出てきます。

「町の衆を守る」とか「困っている人を助ける」みたいなことはタテマエではありますが、実際に共有されているのは間違いないです。

その任侠の教えの中に、弱い者いじめ、広く「素人」に手を出してはいけないという文化も根付いています(標榜しているだけで行動が伴っていませんが…)

彼らの世界的にもカタギの人に手を出すというのはシンプルに「ダサい」ことだという認識があり、そういうことをすると不良の世界で実際に白眼視されてしまいます。彼らにヒロイックな面があることを認めるのは抵抗があるのですが、実際、そういう非合理的、理解不能な考えを持っているということを飲み込むこともヤクザの行動規範、特徴を理解するうえで必要なのだと思います。

 

警察の捜査という実害

警察による暴力団追放の啓発が進んだ現代ではヤクザが素人に手を出さないという知識はかなり浸透しているのではないでしょうか。

警察は暴力団追放キャンペーンで
「ヤクザが一般人に手出しするとすぐに警察に捕まり重い刑罰が科せられたり、組織ごと壊滅させられます。どんなに威勢のいいこと、恐ろしいことを言ってきてもヤクザは絶対みなさんに手を出しませんので、臆せず立ち向かってください」と説明します。
実際はこれがヤクザが素人に手を出さない一番の理由でしょう。

普通のサラリーマンや学生に暴力をふるったり、脅迫をしたら徹底的に警察から絞られるでしょう。



 

え?ニュースでやってる話はどうなの?

「トラブルになった不動産会社社長を殺害・遺棄」
「知人の男性を組事務所に連れていき集団リンチ」
「100万円払わないと殺すと会社員を監禁」

暴力団の恐ろしいニュースが新聞やテレビで報じられています。

「素人さんには出を出さない」なんてのはウソじゃないか!ヤクザはやっぱりやるときはカタギでもやるんじゃないか!

いいえ。ほとんどのケースが被害者も普通の人ではありません。

上の事件は実際にあった事件で私も顛末聞きました。

 

まず、殺された不動産会社社長は偽装破門を受けて毎日ヤクザのメンバーと付き合っている現役の企業舎弟の社長さんでした。カネのトラブルで覚せい剤中毒の舎弟さんに撃たれただけのでした。

 

次のニュースの知人の男性は組事務所で寝泊まりしている「ほぼ組員」で、部屋住みが嫌になり、敵対組織の先輩に移籍を相談したのがバレてしまい、アニキたちにヤキを入れられたのでした。知人男性も果敢に抵抗していて、リンチというよりは乱闘でした。

 

最後の会社員はいわゆる半グレからキャバクラの従業員になった人物でした。違法カジノのツケを暴走族時代の先輩の組員に半年以上、つけたままにして逃亡していました。被害者男性は組員ではないものの、逮捕された組員の「舎弟」の身分を名乗っていました。100万円を肩代わりしていた組員に見つかり、追い込みをかけられただけでした。逮捕された組員は借金を取り立てただけだと警察に怒り狂っていて、結局示談で不起訴→釈放されました。

ヤクザが手を出す相手で本当に純粋な「一般人」はほぼいないと思います。

そもそも普通に生活していたらヤクザと接点など持ちません。

とはいえマスコミも被害者のことを「自称自営業だけど今もズブズブの元ヤクザ」とか「毎日ヤクザと遊んでるプラプラしてるチンピラ兄ちゃん」とか書けないのでああいう記事になってしまうのだと思います。

マスコミの方には難しいかもしれませんが、一般市民に無用な不安を持たせずにもうちょっとホンネでニュースを出してほしいなと思います。