👔ヤクザの「衣」👔

「テレビで最近のヤクザの幹部は
一見するとヤクザに見えないと聞きますが、
そんな人見たことないんですけどね」

-歌舞伎町 組員

◆近代ヤクザはリーマンスタイル?

「現代ヤクザはメガネに七三分け。
服装も地味で一見すると銀行マンみたい」

誰が言い出したのかわかりませんが、割と世間に広がっているように思います。一見、気のよいサラリーマンみたいな人がヤクザだったらとてもこわいですが、私の見ている限り、基本的にヤクザはヤクザな出で立ちの人がほとんどです。幹部は地味目の服装の傾向がありますが、年齢的なモノかと思います。幹部が着ているスーツもスーツだけを見れば地味ですが、真っ黒に焼いた顔に五分刈りの頭、鋭い目つきとマッチするとヤクザ然としている人が多いです。

長期間に幅広く定着しているのはスポーツウェアかと思います。ジャージではなく割とタイト目で上下がセットアップになっているものなど。こういう服装はいかにも若い衆なのでわかりやすいです。



ヤクザはヤクシャ 服は衣装

↑と言われるとおり、ヤクザは自分自身をセルフプロデュースして生きています。トラブルへの介入や恐喝、組織内で立場を維持するには「この人はちょっと普通の人と違うぞ」という雰囲気を相手に感じさせる必要があるため、ファッションには気合を入れます。

近年のヤクザは真っ青なダブルのスーツとかジャージに金のネックレスみたいな度が過ぎたコミカルな不良ファッションはしなくなりましたが、やはりスーツは太めのストライプ、靴はテカテカの「イタリー製」の革靴やフェラーリやベンツのマークが入ったもの、時計も大きめでダイヤモンドや金の装飾(ホンモノかは別にして)があしらわれていたり、一見して高価で個性的なものを好みます。

ヤクザのファッションで共通していることは行き過ぎたくらい「清潔」であることです。外に出て活動するときはジャージにしろスーツにしろおろしたてのようなキレイなものを着ていきます。家で一人でいるときは小汚い格好をしていて、サンダル履きで髪もクシャクシャですが、夕方になると風呂に入り、髪を整え卸したてのスーツを着て街に出ていく姿はほんとうに変身さながらで、着ている服はまさに衣装です。夜の繁華街で無用に新品みたいなスーツを着ている集団を見たらそれはヤクザかもしれません。

◆野球でも行くんですか?◆
そして永遠の定番は長袖のアンダーシャツです。野球選手かウェットスーツみたいな独特の長袖ピチピチアンダーシャツですが、刺青を隠すために着ています。ヤクザは街中や素人に刺青を見せて歩いてはいけないという内部規則みたいなものがあります。基本的には「粋がっているようでかっこ悪い」ということのようです。ヤクザが飲み屋さんなどで「刺青見せて」なんてせがまれても「いや、見せびらかすものじゃありませんから」と割とかたくなに断るのを見ます。別に任侠映画にあこがれてカッコつけているとかではなくて単純に「こないだおたくの若い衆が刺青放り出してたよ」なんて話になったら兄貴から叱られるからです。歌舞伎町や六本木で夏なのにTシャツの下にアンダーシャツを着ている人がいたらヤクザかもしれません。逆に真夏でもアンダーシャツを着ているところで威嚇している部分もありますが。

半袖Tシャツで刺青全開の若い人はキャッチの建築系のお兄さんだったりします。