部屋済み残酷物語
ある関西の組員は朝から晩まで兄貴や親分にこき使われて死にかけていました。電話に1コールで出なかっただけでパンチを食らい、便所掃除が甘いとキックを食らう。
毎日明け方近くまで親分の飲み屋のハシゴに付き合わされてヘロヘロなのに朝6時に起きて掃除と朝食の準備をしなければなりません。
そんな事情はお構いなしの姐さんに犬の散歩をやっておけと言われ、チワワを連れてフラフラ。帰ってくると覚醒剤でアタマがトンでいる兄貴分が「おい今から名古屋に車出せ」。
朦朧としながら車の準備をしていると別のアニキが「てめえきょう昼飯担当までに帰って来いよ」などと無理難題をふっかけられ、「〇〇アニキの運転しないといけなくて」と言い訳をすると「おれより〇〇のほうが偉いってのか!?」と鉄拳制裁を受けます。
金銭面でも大変で、兄貴について食事に行ったら「お前ここ払っとけ」と言われたり、たまにお金を手にするや兄貴分に「花札しようぜ」と絡まれスッテンテンにされます。結果、夜中のウチに荷物をまとめて姿を消す組員も多いですが親分は「辛抱のないやつだったな」などとため息をつきます。
たいていのヤクザは長かれ短かれ部屋住みを経験しているので「部屋住み時代はどうでした?」と聞くと目をキラキラさせて楽しい思い出話をする人と、どんより暗い表情になる人がいるのは業界のあるあるのひとつだからでしょう。