📇現代ヤクザの名刺事情📇

「自己紹介しただけだよ」なんていえない。

 

◆ユニークな名刺たち◆

基本スタイル
白地の名刺に筆で組織名・役職・名前が書かれ、代紋があしらわれています。普通のサラリーマンの名刺のようではなく分厚くて堅く、和紙?のような素材を使っていることが多いです。

大親分の名刺
押しも押されぬ親分の名刺はチタン製だったり、代紋が金箔だったりとそのものに意匠が凝らされています。

右翼団体標榜型
ヤクザの多くは右翼団体を抱えているので、その名刺を使うことが多いです。「〇〇塾塾長」とか「〇〇社代表」などという肩書きです。

会社名刺型
昔はヤクザをやりながら会社も持っている人が多く「△△商事 社長」とか「〇〇土建 専務」などと書かれた名刺も持っていました。最近は元組員だけど実はほとんど現役という人が「オレはもうカタギだよ。ほら、会社も持ってるよ」とアピールするために持ってるケースが多いように感じます。

意味不明型
「日本を糾す会」とか「健全な若者を育む会」とか「大阪のまちを守る会」とか訳の分からない団体のものです。だいたいクスリ系とか刑務所ボケとかで話が空中戦になるタイプの人が持っていて、裏にはそういう団体の肩書きがビッシリ書かれていたり、歴史上の人物の名言が書かれていたりします。

突然名前型
ただ名刺のど真ん中に筆で豪快に「田中太郎」などとだけ書かれているもの。そして裏に唐突に携帯番号が・・・最近はよくみかけます。



◆名刺を渡す=威迫行為◆

現代ヤクザは滅多なことがないとヤクザ以外には名刺を渡しません。一般人相手では名刺を渡すだけで恐喝や条例違反となるからです。たとえばみかじめ料を取ったり、トラブルを解決したりするときに、別に脅しをするつもりなどなくても名刺を渡せば、それはただ単に「私はXX組の@@です」という自己紹介ではなく、その背後には「オレはXX組の@@だ!なめんなよ!」という脅しが自動的に発動していると認識されます。その名刺をもらった上で協力を仰いでいればあとで「脅されました」と言われてしまいます。最近の主流は「見せるだけ」。名刺入れから名刺を出して「ま、こういうもんだけど」といってすぐに引っ込めます。

 

◆名刺は情報◆
また名刺はそこに役職も書いてあるので、どこかで漏洩した名刺を根拠に肩書きを確定されてしまいます。その結果、事件があると「おまえは若頭なんだから抗争の指揮をしただろう」とか「本部長はカネの管理をするだろう」とか言われて無用に突っ込まれることになります。最近はこういうことがあるため年賀状や挨拶状にも神経をとがらせています。昔ならば「襲名のお知らせ」だとか「暑中お見舞い」などは巻物みたいな紙に全員の名前と役職が書かれていましたが、今は情報漏洩につながるとしてあまりやらないようにしています。

 

◆名刺は管理されている◆

上記のような理由から今のヤクザの名刺は程度の差はあれ、管理されています。自分で勝手に名刺屋で作ったりしてはいけません。
ある関東の団体は、すべて同じ形式で組にお願いして代紋入りで作ってもらうシステムで、名刺はいつ、誰と交換したかを細かく記録するシステムです。あるとき、それなりの親分と話していたら急に「あれ?名刺入れがねえぞ」と騒ぎ始めました。居合わせた別の人が「あ、名刺はいいですよ」なんて言うと血相を変えて「そういう問題じゃないんです!枚数が合わないと大変なことなんです!」といってカバンも車もひっくり返していました。結局、うっかりセカンドバッグの外ポケットに入れていて見つかりましたが、本当に脂汗をかいて「危ねー」という顔をして、子分たちも「よかったでですねー」と胸をなで下ろしていました。

名刺1つでそんなに大変な思いをしている業界もあまりないでしょうが、、、、、、、。