「手数料を取るだけです。ハズレもアタリもありません」
―関西のカジノ屋
変わる“博徒”のシノギ
暴力団ヤクザには博徒と呼ばれる伝統的なシノギの中で大きな部分を占めるのが違法な賭博場の経営です。江戸時代から昭和の時代までは花札やサイコロを使った伝統的な賭場が中心でした。
現在は大阪・西成などの一部で常設されているか、暴力団ヤクザ同士がその日限りで場を設けることが主流です。
現在、賭場場のほとんどはトランプを使ったカジノ店です。昭和~平成中期にはバニーガールがシャンパンを運んでくれるような、大型店舗も存在しましたが、警察の摘発がきびしくなり、今は雑居ビルやマンションの一室でこじんまりとやっています。
カジノ・賭場が儲かる仕組み
こうした賭博店・カジノは客同士からカネを集めて場を開帳して、テラ銭と呼ばれる手数料を取ることで利益を得ています。ほとんどすべてがその場の客のお金で回されるのでただひたすらに客の金を回しながら手数料を稼ぐおいしい商売です。客が大勝ちしようが大負けしようが客のカネ。店はコンスタントに手数料を稼ぐので単純に客の数とゲームの回数とに比例して儲かっていきます。
店は損をしないのか
店はラスベガスやマカオのように賭け金=コマを超える「資本金」を持っておらず、通常は現金数十万円しかストックがありません。なので、客の掛け金には上限があり、客が10万20万100万と賭けたいと言っても店は断ってきます。
同じテーブルに着いた別の客が同じ程度の金額を反対側の目に賭けると言うことになれば客同士でカネを奪い合うことになるので店が認めることもありますが、大金が動いても店の手数料はそんなに増えないので断ることが多いようです。
集客の仕組み
店はどうやって客を集めているのでしょうか。誰彼かまわず路上でキャッチをして客を連れててきていたのではすぐに警察に存在がバレてしまい、摘発されてしまいます。
ですが、実際そうして客を集めています。
東京の新宿歌舞伎町や錦糸町、大阪のミナミのあたりを歩いているとキャッチのお兄さんが「ギャンブルは?」、「インカジは?」、「闇スロありますよー」などとかなり気軽に声をかけてきます。
誘いに乗ると、免許証や保険証を見せろと言われ一応の身分を確認されますが、お兄さんがちらっと見て「〇〇さんね」と確認してすぐに返してくれます。イカサマとかトラブルはダメですよという軽い脅し的な意味で確認するだけです。コピーを取られたりすることもなくすんなり店まで案内してくれます。
※警察を強く警戒している店では保険証と顔写真付き身分証をセットで求められます。本人であることと、保険証が警察のものではないかを確認するためです。
一度入店すれば、顧客名簿に登載され、それ以降は面倒な手続きはいらなくなりますが、いきなり店に行くのではなく事前にキャッチのお兄さんの携帯に連絡して案内してもらうことになります。
キャッチのお兄さんたちは携帯を毎日、シフトに合わせて携帯を渡し合っているので毎回違う人が出るかもしれませんが、すぐに「あ、〇〇さんですねー。ご案内します」と迎えに来てくれます。
かなりワキが甘いように感じますが警察の摘発は滅多にありませんし、そもそも「別に捕まってもいいや」という人種がやっているのでとにかく客を集めて金を稼ぐことに集中しています。