💰ヤクザはカネがあっても使えない💰

「こんなにうなるほどカネがあっても
 車1台まともに買えないなんて、
 本当に情けない話ですよ」
 ―中堅幹部S

◆大金持ちヤクザの生活◆

一握りのヤクザは信じられないくらいカネを持っています。もちろん賭博や覚せい剤、詐欺や恐喝など犯罪で稼いだカネで表に出せないものです。

知り合いの中堅幹部Sは組織内での格付けはそこまでないものの、とにかくカネ稼ぎがうまく、うなるほどカネを持っています。一着何十万もする高級スーツを身にまとって毎晩のように高級な焼き肉店やすし屋に行き、高級クラブのNo.1ホステスの愛人を囲い、外資系の高級ホテルで夜を過ごします。

Sは銀座や六本木の高級な寿司屋や鉄板焼き屋で「社長」と呼ばれ、芸能人とも顔見知りです(相手はSがヤクザだということは知らない)。若手のドラマ俳優と席が近くなれば「お兄さん最近、テレビでよく見るよね。おごってやるぜ」とカッコつけて、気前よく何十万円も払います。夜の街ではちょっとした有名人で銀座を歩けば高級クラブの黒服がこぞって頭を下げ、寿司屋の出前の兄さんも自転車を降りてあいさつします。年末に若い衆や兄弟分も連れまわし一晩で500万円も使ったこともあるそうです。Sがヤクザだと知っている街の人は「やっぱりヤクザって儲かるんだなあ。自分もあんな贅沢な生活をしてみたいもんだなあ」と指をくわえています。


◆まともな資産は何も持てない◆

ある日Sが六本木のコインパーキングに止めていたお気に入りの高級車が盗まれました。「警察に届ければいいじゃない。防犯カメラ見ればすぐに犯人見つかるよ」と言いましたが、「警察に相談はできない」としたり顔です。実は、他人名義で車庫飛ばをしている車に乗っていたのです。警察がまともに捜査に乗り出せば、Sが他人名義の車に乗っていたのがバレて車庫証明のウソや保険の問題が浮き上がり、たちまち詐欺で逮捕され自宅や組事務所まで捜索を受けます。

住居も同じです。日ごろ住んでいるタワーマンションも他人名義の賃貸、ホテルに泊まるときも宿帳に偽名を書いているとのこと。一戸建てや土地やビルを買おうものなら税務署が飛んできます。

銀行に預金口座も作れないし、キャッシュカードやクレジットカードも持てません。知り合いのマンションの部屋に現金が段ボール箱に詰められて保管されていて、そこから鷲掴みにして夜の街に出かけているのでした。

「どんだけカネがあっても全部“裏金”すから。財産になるものは何も買えないんですよ。車ひとつだってまともに買えないし、盗まれても何も言えない。本当に情けないすよ」

夜の街で見かける彼らは羽振りがよく、うらやましいと思うかもしれませんが、ヤクザはどこまでカネを稼いでも「消えモノ」にしか使えないのです。