ヤクザ必要説を支える海外マフィア
暴力団ヤクザが自分たちの存在意義を主張する際に海外マフィアの存在をあげてきます。ヤクザがいなくなれば海外の凶悪なマフィアたちが乗り込んできて日本で好き放題をする。
外国人マフィアが日本に入ってきたら凶悪犯罪と薬物が蔓延するようになる。連中はカタギの女や子供にも容赦しない。そんなことになっていないのは俺たちヤクザが目を光らせているからだ―というたぐいの話です。
統計を見てみると違うような
https://www.npa.go.jp/hakusyo/h30/pdf/08_dai4sho.pdf
警察白書(平成30年版)
上は外国人犯罪の検挙数、下は暴力団の構成員数です。
外国人犯罪は年次ごとの多少の差はあるものの基本的に減少傾向です。暴力団は法律や条例の整備で明確に弱体化を続け、構成員数は激減しています。
しかし、ヤクザが弱体化したら外国人がそこに付け込んで犯罪を犯しているかというとそういうことではないようです。むしろ、ヤクザが元気だったころのほうが外国人も活発に犯罪を犯しています。
ややシンプルな比較ではありますが、ヤクザが減ったら外国人犯罪が増えるという説は少し無理があるように感じます。
外国人の犯罪「率」は減少
http://www.moj.go.jp/content/001256897.pdf
法務省
https://www.jnto.go.jp/jpn/news/press_releases/pdf/181219.pdf
日本政府観光局
在留外国人、訪日外国人の急増している背景を考えると、外国人が犯罪を犯す率は下がっていることが分かります。まともな外国人の人が多いということでしょう。
※単純な 検挙数/在留外国人 という割り算はあまり統計的に意味がないのでしません。
というわけでヤクザがいなくなったら外国人犯罪集団が乗り込んでくるいくという説はこの10年くらいの推移を見ていると立証が困難なようです。
悲しむべきことかもしれない
イタリアマフィア、チャイニーズマフィア、アイルランドマフィアは金儲けを夢見てアメリカのニューヨークやロサンゼルスを目指しました。自分の国にはない富がある国で大儲けをして故郷に錦を飾ろうとしました。
かつて日本にもそういう時期がありました。
80年代から90年代、日本に大量に不法入国やオーバーステイの外国人が集まりました。高度経済成長を終え、バブルをへた日本はバブル崩壊後に経済が低迷したものの、国内の不景気はあれど依然として産業立国であり、世界のほかの国と比してみれば上位であり続けました。
中国の「蛇頭」や台湾マフィアも人身売買に加担して日本に入国し、怪しげな外国人クラブが乱立し、街角に外国人の娼婦があふれ、公園には覚醒剤を密売する外国人が集まりました。
世界にとどろく「YEN=円」を狙って荒っぽい強盗や窃盗団が全国で暴れまわりました。
歌舞伎町のど真ん中で白昼にヤクザが青龍刀で切りつけられたり、中国マフィアに射殺されたりする事件もありました。
私もあの時期はこのままいけば、海外の犯罪組織が日本を席巻してしまうのではないかと不安になりました。
当時の東南アジアや中国、東欧や中南米は著しく貧しくて、日本でホステスや売春婦、レストランでの皿洗いのアルバイトですら故郷の年収の何倍も稼げるという時代でした。
しかし、今や日本は彼らにとって黄金の国ジパングではなくなりました。街にあふれる外国人は口々に「日本は物価が安くていいな」と言います。
いまや日本はちょっと安く海外旅行に行こうと思って訪ねてくる国になってしまい、海外マフィアが一攫千金を狙う国でもなくなってしまいました。
海外マフィアが興味を失った国、日本は治安はこのまま推移するかもしれませんがそれは活気が失われていることと裏腹なのかもしれません。
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