暴力団ヤクザ半グレ組員
看板は欲しいけど当番はイヤ

正式にヤクザの組員・構成員であるかどうかというのは不良の世界で大きな差なので、半グレはどこまでいってもシロウトです。ヤクザの行事やオキテに縛られない自由さはありますが、組事務所に行ったら下っ端の坊やにも敬語を使わなければなりませんし、ことあるごとにカネをむしられます。

最近、東京を中心に暴走族「関東連合」OBに代表される「半グレ」からヤクザになる人が増えています。

半グレに対する誤ったイメージとして、次世代型の知的な経済犯罪集団という認識がありますが、そういう人たちではありません。ほとんどは暴走族や不良少年グループ上がりで、ヤクザと濃密な付き合いをしています。

彼らは薬物の売買や振り込めオレオレ詐欺、窃盗、恐喝、カジノ店の経営、AV会社や風俗店の経営などを生業にしていますが、ヤクザに後見されています。

「俺は〇〇組がケツ持ちだ。カシラとは毎週飲んでるぜ」

ヤクザと限りなく近い人たちです。

そこまで顔が利くなら半グレをやりながらヤクザに面倒を見てもらえばいいじゃないか?と思うかもしれませんが、最初に言ったようにそこは不良世界のルールで正式に組員であるかどうかというのはトラブルの場面で大きな力の強さの違いがあります。



先方がヤクザだと「道を譲らなければならない」のが基本です。
ケツ持ちのヤクザにはさんざんみかじめ料のようなものを払っても「おまえはうちの組員じゃないだろ?自分で解決しな」と助けてくれなかったりすることも多いです。
どうしても解決してほしい場面でもヤクザを動かせば法外な手数料のようなもの吹っかけられることになるし、彼らが無茶をすれば拉致・監禁、傷害などの共犯で警察に逮捕されます。

それならいっそのことある程度の上納金を収めて正式な組員の立場を得て、トラブルのたびに自分一人で解決したほうが手間もカネもかかりません。

数年前まで、半グレは時代を謳歌し、確かにやりたい放題な時代がありました。しかし、そこにヤクザが触手を伸ばしてくるようになりました。

オレオレ詐欺で儲かったと喜んでいたら、どこから聞いたのか金属バットを持ったヤクザたちに押し入られてあり金丸ごと持っていかれる。

クスリで儲けようと思ったらみかじめは売り上げの7割だと言われる。こっそり売買をしているのがばれたら山でリンチされて有り金全部奪われる。

ヤクザや同じ半グレとのトラブル処理のためにはやっぱりヤクザの代紋が必要だと感じるようになった-というか半グレがカネを持っていることに目を付けた暴力団に追いかけまわされたり、襲撃されることが増えた。

そしてそれを逆手に取るように「こういうことがあるからうちに入れよ」と人手不足、カネ不足のヤクザによるリクルート活動が活発になり、取り込まれた形です。

しかし彼らの多くは遊んで暮らしたいだけの不良で出世や組を持つことには興味がありません。伝統的な事務所当番や義理事、運転手などはしたくありません。
なので、最近はそういうことをしなくてもいいからカネだけ収めろという方式が増えてきました。
彼らは「〇〇一家付き」などというよくわからない肩書を持っています。
名刺はありませんが、何かあった時には「俺は〇〇一家の人間だ」と名乗ることができます。

金儲けはできるけど、警察に目をつけられて刑務所に入れられてからは、ほとほと表立ってヤクザ生活するのは嫌だという組員はこんな調子でした。

「いやーこの立場がいいですね。当番ないからオヤジやアニキの顔色うかがうこともないし、カネはあるから浴びるほど飲んで翌日は昼までゴロゴロ、パチンコ中に呼び出されることもないし、ボディガードもないし。でもなんかあったら組の名前バンバン名乗れるサイコー!上納金?会費ですか?いやーほかの人の倍ぐらい払ってますけど、それだって別に10万ぐらいですよ。安いもんです」

ちなみにこの組員は最近、ゲームばかりしています。