水商売・風俗の人生と金銭感覚
「生き方」を失うリスク

最近、身近で夜の世界で働く若い女性が相次いで亡くなりました。それぞれに背景はいろいろとありますが、正直、夜の街に飲まれてしまったことは無関係ではないと感じています。なので、今回はそう言ったことを書いてみます。

昭和の時代、水商売で働くということは、大変なことでした。
家族や友人に見つかれば、ヤクザにでもはめられたのか、借金でも作ったのかと心配されました。
しかし、21世紀も18歳を迎え、平成も終わろうとしている現代ではそんな悲壮感はありません。
水商売は機会的に短期的にできる仕事になりちょっとやってみてサクッと稼ぎたい、いやになったらやめちゃおうという女性が大半です。しかし、実情は違う気がします。

夢の「短時間高収入」の世界へようこそ

「タイニュウ=体入(体験入店)」というライトな言葉に誘われ、大学生やフリーター、会社員や主婦が幅広く水商売に関わるようになってきました。店も人手不足なので、就業条件もゆるくて「好きな時間に働ける」「当日給与手渡し」「最低保障あり」と女性を引きつけ、優しく接してくれます(本職の女性は別)
体を触らせたり、上半身を出さなければならないややハードなサービスが求められる業種もありますが、ガールズバーやキャバクラは正直、テキトーにお客さんと話していればそれなりのお金がもらえます。短時間・低努力・高収入というアハ体験に遭遇します。

なんのために?腰掛けで水商売で働く女性の大半は「親の借金を返すため」とか「学費を稼ぐため」という苦労人ではありませんし、ホストにはまって大変ということでもないです。もっとごく普通に日々の食事や旅行、美容やオシャレの「プチ贅沢」か単純な日常経費の捻出が目的という女性が大半です。

「大学の卒業旅行で友達とイタリアに行くんです」
「高級ホテルのビュッフェ巡りがしたくて」
「エステとマッサージに通うんです」
「ちょっとかわいい服が買いたいだけです」

ちょっとだけ、割のいい仕事で短期間にまとまったお金が欲しいというのです。



異常な好待遇  ハマらないわけがない
男性や水商売に接点のない女性から見れば彼女たちはおバカさんに見えるかもしれませんが、そんなことはありません。皆さんももし1日でも働いてみれば、その感覚は変わると思います。

普通の会社員が週休2日で朝9時から夜7時まで上司に怒られたり、取引先に気を使いながら働いたのと同じくらいのお金が、週に2日くらい夕方から終電までの数時間、お酒を飲んで談笑しているだけでもらえます。
お客さんもお店の人も優しいです。会社では「おい!ヤマダ!」などと言われているのに、お客さんからは「ナナちゃん(源氏名)はいい子だねえ」、黒服からは「ナナさん、お疲れ様です」とお店の外まで送ってもらえます。
ハマらないわけがないのです。

気づかないうちに失う「普通の感覚」
最初は緊張していた女性たちも1週間もすれば仕事に慣れてきます。10代や20代ならばちょっと器量が良ければすぐにビックリするようなお金が稼げます。同級生がコンビニで時給1000円で働いている中で、時給が何千円、場合によっては何万円にもなります。仲良くなったお客さんに高級レストランに連れて行ってもらい、ブランド品をプレゼントされます。
金銭感覚が少しずつ崩れていきます。コンビニで買い物をするときに会計を考えなくなり、ちょっとした移動にタクシーを使うようになります。
あっという間に生活のスタンダードが跳ね上がり、普通に働くのがバカらしくなり、お金を持っていない人と遊んだり、恋愛をしたり、結婚したりできなくなってしまいます。

 

◆そして「一生水商売」の人生に◆
結果、最初は小遣い稼ぎで始めたのに、いつの間にか学校や会社を辞めて水商売が本業になってしまう女性が一定数います。さらに職場の仲間に誘われてホスト遊びなんて覚えてしまったりしたら馬車馬水商売人生に陥ってしまいます。
そこまでどっぷり本職になってしまわなくても、10代や20代の成功体験が忘れられず、会社員になってから、結婚してからもも単発的にちょくちょくと水商売を続けてしまう人もいます。個人的には少しギャンブル依存症に似ている気がします。
水商売は端的に若ければ若いほど強い、年を取れば取るほど弱いという市場です。社会人や主婦になっても10代や20代のようには稼げません。同じくらい稼ごうと思ったら、働く時間を増やすか、ハードなサービスの店で頑張らなくてはいけなくなります。

水商売が悪い仕事だとは言いませんが、「ちょっとやってみよう」で始めたはずが、生き方そのものを大きく変えてしまい、一生モノになってしまう女性が多くいるということだけはお伝えしたいと思い、書かせていただきました。