暴力団ヤクザは「金持ち」か
「分収3000円」の実態

「“分収”3000円で無税すよ。
 儲かるなんてもんじゃないすよ」

 

金持ちになることはある


なぜかテレビや映画、小説では「経済ヤクザ」的な頭のいい組員が登場し、株や公共工事、政治の世界などに介入して知的に合法に資金を稼ぐ姿が描かれることが多いですが、そんなヤクザはほとんどいません。

ヤクザの99%は覚せい剤の売買、恐喝、賭博場の経営、自動車盗などシンプルにモロ犯罪で稼いでいます。こうした違法な商売は利益率も異常に高いです。

堂々と違法行為=ルール違反をして荒利を稼いだうえに、一切税金を納めません。当然、著しく儲かるので、かなり大きなお金を持つことになる組員は一定程度います。

 

分収3000円の若い衆

三匹の女賭博師
https://www.kadokawa-pictures.jp/official/3onnatobakushi/

賭博で信じられないくらい儲けたことのある中堅幹部Kの話です。20年近く前、若手の準構成員と組員のはざまのような立場だったころ、Kは関東地方の中規模の賭博場の現場責任者をしていました。賭場では開催者に1割程度のテラ銭=手数料・開催料が入ります。この賭場では花札や、奇数か偶数かを充てるサイコロ賭博が主だったそうです。

「どっちも!どっちも-!」

威勢の良い掛け声とともに超高速で回転する「場」で発生するテラ銭は1分間およそ3000円=分収3000円だったそうです。賭場を開いた場所は港湾工事の作業員が多くかったそうです。現場での口コミでアッという間に客が付きました。

1時間18万円
1日200万円にも達することも。
1月200万円×30日=6000万円
6000万円×12か月
1年間で7億円!

 

という単純計算ではいかなかったようですが、年間の利益は少なくとも数億円にはなったそうです。そりゃそうです。なんてことのない家賃のマンションの部屋でずっと「分収3000円」が続くのですから。



Kは売上金を毎日少しずつちょろまかして大金を手に入れ、1年あまり贅沢の限りを尽くしました。違法な金なので、家を買うとか車を買うということをすればすぐに警察に目を付けられると思い、結局友達や自分より若手のやんちゃ坊主を集めてキャバクラで飲みまくったりほしくもないブランド品の服や時計を買うという「ザ・浪費」で終わったそうですが。

うらやましいと思うものですが、しばらくして負けが込んだ客の密告により、警察の知るところとなりました。警察は開帳中に踏み込んできて、Kはあっけなく逮捕されました。

当時のKはあまり事態を深刻にとらえていなくて、警察で取り調べを受けたら帰られるものと思っていたそうです。逮捕された客たちが反省文のようなものを書かされて、拇印を押させられて帰るのに合わせて自分も帰ろうと思ったら、警察に「お前は帰れるわけがねえだろう」と叱られました。

「なんだよ、帰るぜ」と言っても羽交い絞めにして帰してくれない。そもそも現行犯逮捕されたと思っていたら、また別の逮捕状を見せられる。組織の弁護士を通じて話を受けて初めて「あ、これは刑務所に行くパターンじゃないか」と気が付いたといいます。結果、Kは短期間でしたが刑務所に服役することになりました。何事もうまい話はないので世の中はバランスが取れているなあと思いました。

ヤクザはハンド上等のサッカー選手

ヤクザをサッカーで例えると、みんなが足を使ってボールを運ぶという前提でやっているのに、ボールを手で抱えて走り、敵の選手に暴力をふるってゴールにボールを投げ込んで爆笑するみたいな選手です。

審判(警察)に見つかり、退場(逮捕・服役)します。

ヤクザは頭を使わずに度胸と非常識を武器に「モロ犯罪」で収益を上げて税金も踏み倒してカネを持っているのです。しかし、それには当然「人生の大切な時間を刑務所で過ごす」という一般人には耐えがたい人生を引き受けるわけです。

ヤクザがよくいう話に

「俺たちは刑務所に行くことが税金替わり」

というものがあります。

好き放題して税金も払わないけれど、刑務所に行かされてつらい思いをさせられるんだから、カタギの人は大目に見てくれよということです。

全く論理破綻しています。そもそも刑務所の費用だって税金じゃないか―ということではありますが、まあ刑務所に行くなんていうペナルティを受けるんだから大目に見てやるというか、「ちょっとしたカネのために刑務所暮らしでは割に合わない人生だな」というやや寛大な気にならないでもないです。

Kもさぞかし落ち込んで刑務所生活に耐えたのかと思いますが、10代のころから鑑別所や少年院にも馴れっこだったので、短期間の刑務所暮らしは「分収3000円生活のツケとしては別に気にならない」と笑っていました。

そう開き直られると法律も何もないわけですが。

※最近は暴力団が直に街中の賭博場を経営したり、従業員として働いたりすることは少なくなりました。みかじめ料を取って一般人の「カジノ屋」などと呼ばれるノウハウを持った人たちにやらせているケースが大半です。