暴力団ヤクザになる理由
知的障害者?の組員たち

今回の内容は書くかどうかとても悩みましたが、現実問題としてそういう状況を見てきたので書くことにしました。

暴力団ヤクザになってしまう理由を考察します。

世の中には社会になじめない人、不良少年時代を過ごした人がたくさんいますが、正式にヤクザの組員になるというのはまた少し段階が違うような気がします。
ヤクザになるというのは生涯不良として生きていく、犯罪を生業にして生きていくという決意を持つことです。

昭和の初期の時代、ヤクザ組織は遊び人やプー太郎を寄せ集めていました。

そのころは今のように暴力団対策法や暴力団排除条例もなく、ヤクザ組織も現代のようにピラミッド型になっておらず組織的にも地域のバカ息子をあずかる団体みたいな面がありました。

社会的に「ヤクザもん」とか「チンピラ」などと呼ばれる構成員も多く、夜の街で遊んでいたら組事務所に出入りするようになって組員になったという人がいました。

しかし、昨今、暴力団ヤクザに正式に加盟し、それを継続しているという人は少し趣が違います。

不良少年グループの中でもヤクザになる人物というのは良くも悪くも「頭抜けて」います。
地域環境、家庭環境、生まれ持った基質的な部分に何か強い特徴がある人が多くいます。

 

■意外と多い?障害者構成員■

先日、友人の職場に著しく仕事ができないアルバイトの従業員が入ってきました。基礎的な作業が一切と言ってよいほどできませんし、指示もほとんど理解できていませんでした。

あまりにことに上司がIQテストを受けさせてみたところ、とても低い点数でした。本来は特殊学級などに入らなければいけない基準だったそうですが、周囲がやさしかったのか普通に中学校・高校を卒業していました。

家族も「うちの子は勉強ができない」とか「モタモタしている」程度の認識しかなかったようです。

本人も「周りの人はどうしてこんなにいろいろなことができるんだろう」とか「自分はどうしてこんなになんでもかんでも失敗したり遅れたりするんだろう」と悩んでいたそうです。

IQテストを受けて初めて自分の能力を認識し、別の職場を探すと言って退職したそうです。

しかし、彼女の知的な能力が劣っていることににアルバイトの面接官は気づきませんでした。こういう人は案外、多いのかもしれません。

ヤクザの集団の中にも「あれ?この人もしかして知的障害や精神障害があるんじゃないか」という人を見つけることがあります。

彼らはごく簡単な作業がままならず、会話にもついていけません。

「タバコを買ってこい」と言われたのにお茶を買って来た人や、親分同士が話している間に割り込んで「ところでで僕は腹が減りました」と言って殴られた人、葬儀会場で好き勝手なところを歩き回り別の組員から立つ場所に目印の小石を置かれ「〇〇さん、ここ!ここから動いちゃダメだよ」などと言われている人を見たことがあります。

刑務所に長くいすぎたとか、覚醒剤をやりすぎたとか、抗争事件で頭をしたたかに殴られたとかいう後天的な理由の人もいるようですが、そういうことがなさそうな若い組員を見ると「この子は・・・」と不憫になります。

彼らは組の中では「バカ」とか「アホ」などと言われ雑用や掃除、パシリのようなことをさせられています。ある組員はテキヤに駆り出されていて、焼きそばを作らされていました。

彼は単純な計算ができず、日本語も不安定で会話がうまくできませんでしたが、焼きそばを作り続けるとか決まった地域で車を運転するとかいうシンプルな業務は正確にこなせました。

確かに焼きそばはとても上手に作れ「焼きそば製造マシーン」ともいうべき的確な動きでした。しかし、バーベキューの当番をさせられたときは経験のない業務だったため、肉を焦がしてしまいました。他府県に兄貴分を車で送るときはカーナビの見方が分からなくて全然違うところについてしまいました。

組員たちも彼の特殊性には気づいていましたが「トロい」くらいの認識だったように思います。それでもヤクザは人が資本ですから、お付きや運転手のようなことをさせていました。

彼は毎日のようにテキヤに駆り出されたり、事務所当番をさせられたりしていました。自分でシノギができている気配も給与的なものをもらっている様子もないのである時2人きりの時に思い切って「こんな生活でいいのか」と聞いてみたことがあります。

彼は「やさしくしてくれるから我慢している」とだけ言いました。それ以上問い詰めても「がまんしなきゃだめなんです」としか言いませんでした。

彼は兄貴分のススメで全身に刺青を入れていましたが、兄貴分の知り合いの彫師が彼が支払った一部を兄貴分にキックバックさせているようでした。つまり兄貴分はいくばくかの紹介マージンが欲しいために彼を刺青だらけにしてしまったのです。

ある抗争事件で組員が拳銃を発砲したことがありました。彼はひらがなすら書けないような知的レベルしかありませんでしたが、組の人間に言われて「犯行声明」を書いて警察やマスコミに送っていました。さすがに不憫に思った警察が「誰にやらされたのか」と聞きましたが、「じぶんでおもいつきました」しか言わず、長い懲役に服役しました。

知的な問題を持つ人たちの中には家族や社会の網目からこぼれ落ちてしまう人がいます。なかなか一人では友達もできない、日常やることもないという彼らにとって、日がな一日からかい半分でも相手にしてくれる人や、食事を賄ってくれるヤクザ組織は拠り所になってしまうのかもしれませんが、どうにかしてそれを救うことはできないのかと思います。