暴力団ヤクザの盃 兄貴・親分の関係
カネを越えた精神的なつながり

「盃事の時に親父のためなら死ねるなんて言います。言ってるときは本気ですよ。いざとなったら、大体の人間は逃げますけど(笑)

-関西暴力団元幹部F

 

暴力団ヤクザの世界を読み解くために必要なこととして

非合理的な考えを持っていることを理解する―

ということがあげられます。

ヤクザは世の中の価値観とズレたインナーサークルで生きていて、理解しがたい考えや価値の尺度をもっています。

その最たるものが親分や兄貴分への忠誠です。

職場の上司や先輩をカッコいいと思ったり尊敬したりすることはあるものの、無償で働くとか、自分のお金を気持ちとしてプレゼントするとかいうことはしません。

万が一、そういうことをしている人がいたらそれはかわいがられて出世をして将来元を取ろうという魂胆なのだろうと考えます。そうでなければ合理的な説明がつきません。

なので、ヤクザが親分や兄貴分についてまわったり、上納金を収めるのは出世のためであり、上納金を受け取り、偉そうにできる立場に上り詰めることができるという具体的な見返りがあることを期待しているのだろうと考えるのが普通です。

しかし、実際にヤクザを見ていると、ほとんどのヤクザが自分の親分や兄貴分に対して無条件で尊敬や憧れを持っています。

ヤクザはヤクザの世界の価値観に支配されています。会長とか組長とかいうのは一般社会的になんら評価の対象になるものではありませんが、不良だらけの世界ではそこに大きな価値が見出されています。

そしてそういう人たちにあこがれを抱き、また自分もそういう人物になりたいと思うのです。

なのでヤクザが自分の親分や兄貴分がすごいんだと言っているときは本気で尊敬して自慢話をしているのです。

考えてみたら軍人さんなどもお国のためとして戦地に赴いています。何かあったら死んでしまったり、大けがをすることがあります。その割には億万長者になれるわけでもありません。

敬礼をして国家を歌っているときの兵隊さんたちはある種ヤクザのそれと似た特異な価値観の中に生きているように見えます。

 

ヤクザは軍人さんと違って戦争になったら割とすぐに脱走してしまう人が多いので、ちょっと違う気がしますが。