政治家とヤクザ暴力団とのつながり①
地方議員という集票の盲点

映画やドラマでは大物政治家がヤクザから政治献金をもらったり票集めをしてもらった見返りに不正に目をつぶったり、公共事業を発注したりして社会を操る様子が描かれます。
昭和のころは別として、21世紀で平成も終える今この時代に、そのようなことはほぼないといっていいと思います。
少なくとも私は見たことがありませんし、ニュースで報じられたこともありません。
政治家というと国会議員をイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし、国会議員は衆議院、参議院あわせても707人しかいません。
世の中で「議員」と呼ばれる人の大半は県議会、市町村議会の議員さんで3万人を超えます。
およそ3000人に1人いる計算です。彼らはほとんど一般人に近いです。
村の役場で議会があるときだけ軽自動車で役場に来て、川の治水工事や水道管の修理、お祭りの段取りの話などの地域密着型の議題を論じます。
こうした地方議員レベルになると、未だにわずかながらヤクザと接触がある人たちが少なくないのが実態です。


市町村議員、県議会議員がなぜこの時代にまでヤクザと付き合うのかといえば、見ていると利害関係のない地縁・血縁の付き合いが続いているようです。
田舎では市議会議員の兄弟や叔父、従兄弟がヤクザというのは珍しいことではありません。ご近所さんや小中学校の同級生や先輩後輩の関係が続いていたりします。
組員もカネもあって組事務所を構えてちゃんとヤクザの親分をやっていれば別ですが、ジャージを着てプラプラしながら暮らしている人など一般人から見ればただのおっさんでしかありません。
入札制度や暴排条例が整備され、建設業をはじめとする役所の利権もほぼなくなりました。おたがいに付き合ってもメリットがない状態なので友達レベルの付き合いが続いているのが実際ではないかと思います。
最近は、「悪いけど、もうアンタとはおおっぴらに付き合えないんだよ」という政治家が大半で、ヤクザも別に利権もないので「おう、わかったよ。たまには飲みに行こうぜ」なんていう関係が続いています。
以前別の記事でも書きましたが、ヤクザというのをあまりに深く考えると混乱します。普通の適当な人たちの集まりです。まして政治に絡んで金儲けをするなど半世紀前の昭和の大親分たちだけの話です。
じゃあ、おえらいさんはヤクザと関係ないのかというとそこは微妙なところです。
日本の選挙は地方議員がピラミッド式に票を集約していくシステムです。市町村議員は都道府県議員の票を集め、都道府県議員は国会議員の票を集めます。
全国3万人あまりの地方議員が国会議員、閣僚、総理を支えているというシステムの中では、国会議員だってヤクザと一切の縁を切っているかというと難しいところではあります。