暴力団ヤクザになってしまう理由を考察します。
世の中には社会になじめない人、不良少年時代を過ごした人がたくさんいますが、正式にヤクザの組員になるというのはまた少し段階が違うような気がします。
ヤクザになるというのは生涯不良として生きていく、犯罪を生業にして生きていくという決意を持つことです。
昭和の初期の時代、ヤクザ組織は遊び人やプー太郎を寄せ集めていました。
そのころは今のように暴力団対策法や暴力団排除条例もなく、ヤクザ組織も現代のようにピラミッド型になっておらず組織的にも地域のバカ息子をあずかる団体みたいな面がありました。
社会的に「ヤクザもん」とか「チンピラ」などと呼ばれる構成員も多く、夜の街で遊んでいたら組事務所に出入りするようになって組員になったという人がいました。
しかし、昨今、暴力団ヤクザに正式に加盟し、それを継続しているという人は少し趣が違います。
不良少年グループの中でもヤクザになる人物というのは良くも悪くも「頭抜けて」います。
地域環境、家庭環境、生まれ持った基質的な部分に何か強い特徴がある人が多くいます。
■地域性■
日本の一部中学校には卒業式に暴走族の特攻服風の刺繍学ランを着た生徒が集まる学校があります。そういう生徒が一切いない学校が大半の中で、不良生徒がコンスタントに一定数出現する学校は反社会的な「地域性」があることを示唆しています。(刺繍学ランは比較的穏やかな少年少女も卒業記念に着るのでみんながみんな本格的な不良かというわけでもないようですが)
こうした地域では先輩が逮捕されたとか刑務所や少年院に入ったということは比較的身近で、同じ中学校や高校の先輩後輩、「近所の兄ちゃんに面倒を見てもらった」「同じ団地のおじさんにかわいがってもらった」という地縁的なつながりからヤクザに加入する少年・青年も発生してきます。
そうはいってもそういう地域にいたからヤクザになるとか犯罪者になるというものではないので、そこには家庭環境や本人の性格などが関係してきます。
■政策的問題■
アメリカやヨーロッパなど治安の悪い地域や貧困家庭、問題家庭が多い地域(移民などマイノリティーが多いケースも)があります。海外ではまずそういう地域の「存在」を認めています。
その上で財政を手厚くしたり、学校に警察官やカウンセラーを派遣したり、大学進学を前提としない子供たちに手に職をつけるプログラムに誘導したり、地域を越えた越境通学を行わせたりとテコ入れ政策を行います。
日本は「この学区は不良少年が多いです」などと明確に示して行政がテコ入れをしないので地域性が濃くなっています。
同和問題や在日韓国朝鮮人の集中居住地区など差別問題ともかかわってくるからやりにくいのだという指摘もありましたが、実際はよくわかりませんし、平成も終わろうというこの時代にあって極めて限定的です。
少なくとも介入するときの起きる軋轢を恐れて道を踏み外してしまう少年たちに対して見て見ぬふりするのは社会的に損失、害悪であり、行政としての責任を放棄しているといわざるを得ません。