大麻は大丈夫というナゾの風潮 依存性弱い?ダウナー?リラックス?体質と種類と吸い方 強さ・弱さ

芸能人が薬物で逮捕されるとき、覚せい剤だと「人間やめました」という雰囲気なのに、大麻だと「遊んでるんじゃねえ」という雰囲気で受け止められるような気がします。薬物後進国の日本ではほとんどの人が一生のうちに一度も違法薬物に触れる機会がありません。これは喜ばしいことである一方で、薬物に関して無知であり、テキトーな知識が蔓延しています。
その中でも大麻に関してはなんとなく「大麻は健康に悪くない」
「そこまで依存性はないらしい」
「覚せい剤がハイになるけど、大麻はダウン。リラックスできる」
「人を攻撃したり暴れたりしない」みたいなイメージがあるようです。私も取材をするまではそんな印象でしたが、取材を進めていくとそもそも「大麻」というものがとってもバラエティに富んでいることと、個人の体質やコンディションによって吸った時の反応や依存度も全く違うということがわかりました。


大麻を吸うとどうなるの

大麻を吸引したことのある人は「あんなものなんともなかった」という人と「めちゃくちゃ気持ちよかった」という人に分かれます。
覚せい剤は脳の中枢神経を揺さぶるザ・劇薬でほとんどの人にダイレクトに作用しますが、大麻は少し違います。
大麻に含まれる「カンナビノイド」という成分に反応する脳の「カンナビノイド受容体」の強さに大きく左右されるとされています(やや未解明)。
カンナビノイド受容体が敏感な人は大麻を吸うと大きな効果が表れますが、受容体が少ない、あるいはほとんどない人は大麻を吸っても特に大きな変化を感じません。カンナビノイド受容体が弱い人がどうしても大麻ワールドを感じたければ量をこなすかカンナビノイドの成分が多いヘビーな種類の大麻を吸うしかないそうです。
大麻の効き目についてはお酒、アルコールに対する反応・体質にも似ていると言われます。体質的にお酒が弱い人はビール1杯で真っ赤になって酔っぱらいますが、お酒が強い人は日本酒や焼酎を飲まないと酔うことができません。体に耐性ができるのでだんだん酒量が増えてアル中になってしまうのも大麻中毒の状態によく似ているとされます。
大麻はその日の体調や食前・食後であるかどうかも密接です。
お酒と一緒に吸引すると効果が表れる人もいますし、逆に酒の効果が勝って何も起きない人もいます。
効果が現れないだけならいいですが、気分が悪くなったり、吐いたり、倒れたり、気を失ったりする人もいます。こういうよくないキキメになってしまうことを総じて「バッドトリップ(悪いトビ方)」と呼びます。

 

 

種類が豊富 「大麻」ってナニ?

「大麻」のイメージについてはレゲーミュージシャンのボブ・マーレイ先生の影響が強く、ダウナーな反応を示すピースフルでハッピーなドラッグで依存性も低いというイメージがあるのではないでしょうか。ソファに座ってリラックスしながら友達や恋人とハグをしてChillしてみたいな。覚せい剤やコカインなどほかのドラッグと比べてそこまで悪質なドラッグではないという印象が広がっていますが、私が得た感覚では違います。まず「大麻」はあまりに種類が豊富です。これもお酒に似ているところだと思います。「酒」という広いカテゴリーに甘酒、梅酒、日本酒、焼酎、ワイン、スピリッツがあり、さらにその中で大吟醸や芋焼酎、シャンパン、テキーラ、ハブ酒などと無限にカテゴリーが広がっていくのに似ています。「お酒を飲もうよ」と言われて梅酒の水割りやカシスウーロンを出されるのとテキーラやウォッカをジョッキで出されるのでは全く違うと思いますが、大麻もそれぐらいの差があります。
外国で大麻に詳しい外国人に話を聞きましたが、その人は100種類近くの商品をそろえていました。そもそも乾燥大麻、大麻樹脂、液体大麻などに分かれていて、体に取り入れる方法も様々でした。煙草のように紙で巻いて吸ったり、食品に混ぜたり、ガラスの変わった器具を使ってあぶったり。お酒で言ったら口から飲むか鼻から吸うかぐらいの差があるのではないかと思います。植物の細かい種類、生育地域ごとにもブランディングされていて、「これは相当強いから常習者向け」
「これは大学生のガキが吸うもの」
「これは音楽がよく聞こえるようになるタイプ」
「こいつは食欲が出てくるやつだよ」
などと区別していました。求めてくる客に対しては年齢や性別、過去に大麻の経験があるかなどを聞いたうえでおすすめを売っていました。初めて大麻を吸うという旅行者のおにいちゃんが「一番強いのをくれ。金はいくらでも出す」といっても店主はかたくなにNOでした。

「まず何度かこの一番弱いやつをやってみろ。それでもだめなら徐々に強めのを出してやる」大麻入りチョコレートケーキも売っていましたが、
「大麻の効果は人それぞれだから時間を空けて少しずつ食べるように。体と相談して食べてね」
と念を押していました。

薬剤師か!

あらためて大麻との付き合い方について聞いてみると、
「千差万別。その人の体質と大麻の種類、強さ、吸い方、量、全部がかかわってくる。いろんなネタを試してみて自分にあう種類や体への入れ方を見つけることだね。ダメな人はダメだからやらないほうがいい」
とのことでした。大麻は種類も接種の仕方も豊富で、年齢や体質という変数もかかわってきます。大麻の強さ10×体質100⇒効果度10000みたいな人もいれば大麻の強さ100×体質1  ⇒効果度100みたいな人もいるということなんですね。「大麻をやったらこうなる」
そう簡単なものではないということがわかりました。

 

恐怖!1回の使用で壊れる人

別の大麻に詳しい人から身の毛がよだつ話を聞いたこともあります。

「ごくまれに大麻ときわめて悪い相性の人がいる。1度吸っただけで長年クスリ漬けのジャンキーみたいにおかしくなっちゃうんだよ」
脳の仕組みなのか、免疫系なのかはわからないがごくまれに大麻を吸った途端に別人になってしまう人がいるそうです。その人は「急性大麻精神病」と命名していました。初めて大麻を吸った途端に性格や行動の雰囲気が変わってしまうというのです。独り言を言いだしたり、妄想に取りつかれたりといった症状を見せるそうです。そのまま大麻にドハマりしてしまい、覚せい剤を超えるような依存性を持ってしまったり。「1発KOっていうのかな。え?そんなに効いちゃったの?ってぐらい。たぶん本人の生まれながらの体質なんだろうけど…結局、瞬間的に精神が壊れちゃうっていうか妄想とか幻聴、幻覚にとらわれるようになっちゃってもとに戻らないんだよね」

機会があったのでお医者さんにも聞いてみましたが、「そういう人もいるらしいが、よくわからない。そもそも薬物の作用自体、今の医学では十分に解明できていない。薬物使用者の状態も外から私たちが見た感じと本人の中で起きてる快感とか変化が同じ程度かどうかもよくわからない。人によっては臨床例のない反応を示す人がいるのかもしれない。体に医師や薬剤師の診断がない”自家製”異物を入れるんだからあらゆることを想定しないと」大麻をはじめ薬物が人体に与える影響はいろいろな変数がかかわっていて、結果もとても多様です。一発KOもありえるので気を付けたほうが良いようです。

 

ダメ、ゼッタイ。

 

 

はウソではないようです。