覚醒剤をセルフコントロールできる人
簡単にやめられるし簡単にやれる

「自分は正月の3が日だけやりますね。
    おせち料理みたいなもんです」
   ー指定暴力団の若手幹部 

覚醒剤をはじめとする違法薬物はやはりその人との相性があるようです。一発目からサイコーの気分でドはまりする人もいれば、何度かやってみたものの何も良さがわかんないからやめましたとか、全然カラダに合わなくて頭が痛くなって寝込んだだけなんていう人もいるようです。

ピンポイント使用者ごくまれにですが、それなりに違法薬物を使用するんだけれども、強い依存性がないというタイプの人がいます。やりたいときにやればいいだけで、日常的に無意味に使用する気分にはならないという人です。

「誕生日にケーキ食べるみたいな感じですかね…いや、おせち料理かな。おせち料理って正月はおいしい、食べたいなあっと思いますけど、別に年中食べたいわけじゃないじゃないですか」



「やりたいなあ」「きょうはキメるぞ!」と張り切ったときの欲求は強いのだけれど、日常的に常習するほど依存するわけでもない。「正月だけ」とか「彼女と会う時だけ」などと決めて、実際他の期間はあまり興味がないという人はいるようです。

暴力団、ヤクザは事務所当番や急な親分や兄貴のお付きの呼び出し、ちょっとした抗争まがい事件でもすぐに招集がかかります。これから彼女と一戦交えよう!なんてときに呼び出されてがっかりなんてこともあるようです。また呼び出しに駆け付けたときに「キキメ」の状態だと「てめえネタ食ってんだろ」と怒られます。

Wは、親分たちから里帰りを許され、呼び出しもないお正月の数日間のまったりとした完全オフのタイミングだけおちついてクスリに身をゆだねることができるといいます。

また、Wは「一発目」を正月にやったため、毎年新年の時期になるとあの多幸体験をまた味わいたいというなあという気持ちになるそうです。シチュエーションとか季節感が脳に染み付いているのかもしれません。そういう意味では「一発目を引きずる」の亜種なのかもしれません。

こうした「短期間型」の人は薬物の種類にもよりますが、それなりの数がいるように思います。誕生日、正月、クリスマス、仕事がうまくいったとき、徹夜で麻雀するとき…そんなそれぞれのタイミングでやっています。

大麻
集団でいるときにやるとみんなではしゃいで楽しいという傾向が強く、仲間といたら酒の勢いもつけてやるけれど、一人でこもってやるようなもんじゃないという人が多いです。

コカイン
セックスドラッグ、パーティードラッグの性格が強く、芸能人や社長が週末に乱痴気騒ぎをした後に月曜日からは普通に仕事をこなせます。アメリカの映画を見ると証券マンや弁護士、一流大学に通う坊ちゃん嬢ちゃんたちがハナからバキュームする場面がよく出てきますが、実際、純度がよいものであればエリート人生とコカインの使用を並立させることができます。

MDMAなど
合成麻薬や危険ドラッグなどの薬物も機会的な要素が強いです。混ぜ物が多いので依存する度合いが高いようですが。

覚せい剤
やはり依存性が段違いに強いのであまりセルフコントロールできる人に会ったことがありませんが、Wのような人もまれにいるようです。ただ、注射器を利用する接種の仕方だとほぼ全員が日常的常習者になるということでした。

 

・後日談
Wは元旦にたった5分だけ車を運転しました。子分の若い衆が「Wさんやばいですよ。タクシー使ってください」とすがったのですが「大丈夫だよ」と運転しました。すぐに通りすがりのパトカーに呼び止められて、尿検査。逮捕されました。

警察は「あんた久しぶりにやっただろ?すれ違いざまに一目でわかったよ」と笑ったそうです。