🏆相撲とヤクザ🏆


「歌手や俳優を連れまわしても女は喜ぶけど、
 男からは白い目で見られる。
 相撲取りを連れまわすと男が喜ぶんだよ」
 ―関東の親分

日馬富士さんの件を見てふとそういえば相撲の話を書いていなかったことに気づきました。そもそも相撲部屋は親方は組長、兄弟子は兄貴、親方の奥さんは姐さんで、部屋済みの若い衆がほかの部屋(組)に負けないように体を鍛えながら炊事洗濯、親分の身の回りの世話をするという暴力を基本としたヤクザなタテ社会。飲み会で兄貴分に礼儀がなってねえ、ゴツン!と気合をいれられるのなんて、別に当たり前じゃないのかなんて思ったりしますが…

◆前置◆
私は相撲業界の具体的な闇について書けません。正確に言えば、今回の件でその筋の人たちから具体的なスキャンダルの話をたくさん伺いましたがどれもよくわからないから書けませんということです。

「〇〇親方は毎晩カジノに通っている」
「△△部屋はケツモチがG組だ」
「◇◇横綱のタニマチはK総長らしい」

私は週刊誌やスポーツ新聞の記者さんでもないので、この手の具体的な話については専門ではないですし、裏を取ることもできないので割愛します。

◆大相撲賭博事件の見方◆
2010年に明るみになった大相撲野球賭博事件
野球賭博に29人、花札などの賭博に36人の計65人が関わった事件で、「胴元」=ヤクザと相撲界の付き合いが明るみになりました。
関係者の人に悲しいかなどうして相撲取りはこうも博打にハマるのか?と聞けば「相撲世界の文化、親方、兄弟子からの引継ぎとしか言いようがない」といわれました。ヤクザに聞いたところ、「相撲取りは有名になれば金を稼ぐしタニマチが湯水のようにカネを出す。賭客として最高だから長年カモにしている。ペーペーの力士でもツケがたまったら親方が払ってくれるからな」だそうです。悲しい。この事件は「相撲取りが違法な賭博行為をやっていた」ということよりも、「相撲取りがヤクザと日常茶飯事に付き合っていた」ということに注目すべき事件だと思いました。

◆格闘技興行にヤクザつくのは当たり前◆

にぃしぃ~  = 青コーナー
ひがぁしぃ~ = 赤コーナー

ボクシングやプロレス、Kー1にヤクザやマフィアが裏にいても「まあそんなもんだろう」程度なのに、相撲の最前席にヤクザがいただけでコンプライアンスを声高に叫ばれます。相撲は「伝統ある国技」で、ほかの格闘技とは違う高尚なスポーツであるという幻想があります。

しかし、実際にやっていることはどうでしょう?
地方都市を回って巡業(興行)して土俵(リング)で相撲(格闘技)を見せて懸賞金(ファイトマネー)を得る 外形的にはプロレスの興行となんら変わりません。日本ではあらゆる興業にヤクザが介入してきた歴史があり、特に地方の興行では残念ながら切っても切れない関係が続いているのが実際です。相撲の伝統や歴史が長いということははむしろしがらみが強いととらえる方が正しいような気さえします。


◆相撲賭博◆

スポーツ賭博は日本も合法化した方がいい。

直接、相撲取りとヤクザが懇意になってしまった背景に相撲賭博があるといわれています。賭博システムでは胴元のヤクザは自分が儲かるようにハンデやオッズを決めていきます。昭和の時代はヤクザが試合前の力士に「オマエが負けたらうちの組は大損だから絶対に勝てよな!負けたら承知しねえぞ」と脅したそうです。ヤクザの予想通りに力士が勝ってヤクザが儲かれば「オマエのおかげで儲かった」とご祝儀が出ますが、逆に負けたら「よくも負けやがったなコノヤロウ!」だったそうで、最悪は「八百長しろ」なんて話まで発展したとかしないとか。

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ちょっと話が逸れますが相撲賭博には独特のシステムがありました。相撲は野球やサッカーのようなチームプレーでなく、1対1の勝負で「八百長」が簡単なため、「東西張り」といって東と西のどちらが勝つかというスタイルの賭け方が定着していました。西と東でやや力士の強さに偏りがある場合には1~3勝程度のハンデがつけられていたそうです。

例:
西が東より力士チームが強いと予想され
東に2勝のハンデをつけた場合

西 11勝  9敗
東  9勝 11敗 →  9+2=11勝
実際は東の負けだがハンデで引き分け

西 10勝 10敗
東 10勝 10敗 → 10+2=12勝
実際は引き分けだがハンデで東の勝ち

「にぃしぃ~」「ひがぁしぃ~」
行司さんんが声をあげるたびに手に汗握るおじさんたちがNHKの放送にかじりついています。

◆お互いのメリットは何か◆

ヤクザ側のメリット
年配の親分に聞いたところ昭和の時代は単純に有名力士を連れまわして自慢したいというシンプルな功名心があったといいます。「歌手や俳優を連れまわすと、女はキャーキャー言うが、男には白い目で見られた。でも、横綱を連れて行ったときは組長も兄弟分も俺のことを見上げてくれた。俺の人生、ここに極まると思った。すげえカネ使ったけど(笑)」と嬉しそうに話していました。
また、相撲取りは若いうちはどんぶり飯を食わせてやれば「ごっつぁんです」と喜ぶ安上がりなおにいちゃんですが、大関や横綱、親方になればタニマチからカネを吸い上げて数億円をねん出できるATMに変わるのでヤクザの「投資物件」にされていました(これは芸能人やほかのスポーツ選手でも同じですが)若いころに資金援助したり、女性トラブルやケンカのトラブルを解決してやれば一生タカリ続けることができます。

力士側のメリット
昭和の時代は部屋の地元の親分がタダメシ、タダ酒三昧をさせてくれるのは当たり前だったそうです。ヤクザの功名心に相撲取りがタカったということです。地方の親分とも親しくなれば巡業中も連れまわしてくれて、肉が100キロ届いたとか、日本酒が何升も届いたとかそんな話ばかりだったようです。そして何より、ご祝儀やパーティー券のさばき、相撲部屋の運営費など直接的な資金を支えてくれたのもヤクザだったといいます。

もう一つの大きな理由はトラブルの解決でした。相撲取りは急にお金と名声を得て、タニマチやタニマチもどきが高級な店を連れまわしたり、女遊びやギャンブル事教え込んだり、変な儲け話に誘ったりしてくるため、たちまちトラブルに囲まれることになります。「お前が抱いたオンナが妊娠した」「カジノやってる写真があるぞ」「お前のパーティー脱税してるだろ」etc…こういうことを言ってくる輩は反社会的な人物ばかりなのでヤクザに解決を頼めばすぐに収まります。一度世話になってしまったら一生付きまとわれることになるのですが。

◆相撲部屋=部屋住み=ヤクザ文化◆
ヤクザには「元相撲取り」という人が多いです。相撲の世界で成功をお収める力士はごくわずかです。多くの力士が中学や高校を卒業後すぐに相撲部屋に入り、勉強や人生経験などないままひたすらに相撲に打ち込みますが、20そこそこで芽が出なかったり、ケガをしたりすると突然、街に放り出され徒手空拳で生きていくことを余儀なくされます。腕っぷしと迫力はあるけど、他に何もない青年たちがヤクザのスカウトに引っかかり、そして後輩たちをまたスカウトしていくという無限ループが昭和の時代から続いています。

相撲部屋のシステムはヤクザの部屋済みシステムによく似ていて、力士がヤクザになってもすぐになじめるそうです。若い青年を部屋に住まわせて食事と寝床を与えそこには親方は組長、兄弟子は兄貴で、親方の奥さんはちょうど姐さんにあたり、ヤクザと同じ疑似家族を形成しています。食事当番や炊事洗濯は若い衆の仕事、親方や兄弟子の言うことは絶対、鉄拳制裁は日常茶飯事…うーん。ヤクザが相撲部屋に似ているのか相撲部屋がヤクザに似ているのか・